機械材料の基礎:アルミニウム合金

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機械材料の基礎:アルミニウム合金

機械部品の材質としてアルミ(アルミニウム合金)は広範に使用されている材質です。
アルミニウムは軽いという特徴の一方で、やわらかい金属であるため銅やマグネシウムなどの元素を添加して合金にすることで、強度などの特性を向上させます。

アルミニウム合金は重量に比して高い強度を持つ一方で、融点が低いため熱によって溶けやすく、また熱伝導率が高いため歪みが発生しやく溶接が難しい。そのため鋼製機械部品と比べて溶接補修作業などに向いていません。

アルミニウム合金番号

アルミニウム合金はJIS規格においてAの後に続く四桁の数字「AOOOO」によって組成の違うアルミニウム合金名を示します。

1000系 純アルミニウム

1000系の合金番号は純度99.00%以上の純アルミニウムを表している。代表な合金番号としてはA1070、A1050などが知られている。純度が高くなるほど耐食性が向上する。耐食性、電気特性、熱伝導率、加工性が良いが、他の合金に比べて強度が低い。

主な用途としては、放熱板や配電材料などの材料として使用されています。

2000系 Al-Cu系合金

2000系の合金番号は主に銅が多く添加されたアルミニウム合金を表している。代表的なA2017、A2024はジュラルミン、超ジュラルミンとも呼ばれ、鋼材に匹敵するほどの強度を持つ。強度がある一方で耐食性や溶接性が劣る点が難点です。

3000系 AL-Mn系合金

3000系の合金番号は主にマンガンが添加されたアルミニウム合金を表している。代表的な合金番号はA3003、A3005などが知られている。純アルミニウムの加工性、耐食性を維持しながら、強度や溶接性を高めたアルミニウム合金です。

4000系 Al-Si系合金

4000系の合金番号は主にシリコンを添加したアルミニウム合金を表している。代表的な合金番号はA4032、A4043などが知られている。シリコンを添加することにより耐熱性、耐摩耗性を向上させた材質である。

主な用途としてピストンやシリンダヘッドなどに使用されています。

5000系 Al-Mg系合金

5000系の合金番号は主にマグネシウムを添加したアルミニウム合金を表している。代表的なA5052はアルミニウム合金全体の中で最も使用されているアルミニウム合金の一つである。マグネシウムの含有量が多くなるほど強度が向上し、溶接性も良好になります。

主な用途としては、板金製品や船舶・車両部品などに使用されています。

6000系 Al-Mg-Si系合金

6000系の合金番号はマグネシウムとシリコンを添加したアルミニウム合金を表している。強度や耐食性が良く押し出し加工性に優れているためサッシなどに使用されている。アルミフレームなどの押し出しフレームなどは主にA6063などが使用されている。微量な銅を添加することでさらに強度を向上させたA6061などもある。

7000系 Al-Zn-Mg系合金

7000系の合金番号は亜鉛とマグネシウムを添加したアルミニウム合金を表している。さらに銅を添加したAl-Zn-Mg-Cu系合金と、銅を添加していないAl-Zn-Mg系合金に分けることができる。銅を添加したA7075は超々ジュラルミンはアルミ合金の中で最高強度の合金となり、航空機部品やスポーツ用品などに使用されている。

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