機械材料

機械材料の基礎:ポリアセタール

ポリアセタールは、化学名をポリオキシメチレンと言い、その英語名の頭文字をとってPOMという略称で広く知られる熱可塑性樹脂です。炭素と酸素が交互に結合した単純かつ強固な分子構造を持ち、汎用エンジニアリングプラスチックの五大樹脂の一つに数えられます。金属に匹敵する機械的強度と優れた耐疲労性を持つことから「プラスチックの金属」という異名を持ち、歯車や軸受、ねじ、バネといった機械要素部品の材料として、現代の産業界において代替の利かない地位を確立しています。自動車のドアロック機構からファスナー、ライターの着火レバー、そしてプリンターの内部ギアに至るまで、私たちの生活はポリアセタール製の部品によって支えられています。
機械材料

機械材料の基礎:無酸素銅

無酸素銅は、その名の通り、銅の中に不純物として含まれる酸素を、極限まで取り除いた高純度の銅材料です。日本産業規格ではC1020として規定されており、その純度は99.96パーセント以上に達します。この銅が、エレクトロニクスや真空技術といった最先端分野で不可欠な材料として重用される理由は、極めて高い導電性と、高温加熱時に材料を破壊する水素脆化という現象を完全に克服した、類まれな特性を両立している点にあります。
表面処理

表面処理の基礎:硬質クロムメッキ

硬質クロムめっきは、鉄鋼をはじめとする金属製品の表面に、電気化学的な手法を用いて、硬く、厚いクロムの金属皮膜を析出させる表面処理技術です。工業用クロムめっきとも呼ばれ、その目的は、装飾クロムめっきのような美しい外観を得ることではなく、純粋に機械的な性能、すなわち耐摩耗性、摺動性、耐食性といった、工業製品に求められる機能性を表面に付与することにあります。
機械要素

機械要素の基礎:ボールねじ

ボールねじは、モーターなどの回転運動を、極めて高い効率と精度で直線運動に変換するための、機械要素です。その基本構造は、ねじ軸と、それにかみ合うナットから構成されますが、一般的なすべりねじとは決定的に異なる点があります。それは、ねじ軸とナットのねじ溝の間に、多数の鋼球(ボール)を介在させ、転がり接触によって運動を伝達する点です。
機械要素

機械要素の基礎:無給油ブッシュ

無給油ブッシュは、その名の通り、油やグリースといった外部からの潤滑を一切必要とせずに、滑らかな摺動運動を可能にする、自己潤滑性を備えたすべり軸受の一種です。オイルレスベアリングとも呼ばれ、機械の保守作業を大幅に削減し、設計を簡素化すると同時に、油による汚染を嫌う環境での使用を可能にする、極めて重要な機械要素です。
機械要素

機械要素の基礎:リニアブッシュ

リニアブッシュは、円筒形状の案内軸に沿って、滑らかで精密な直線運動を可能にするための機械要素です。ボールベアリングが回転運動の摩擦を低減するのに対し、リニアブッシュは直線運動における摩擦を劇的に低減させる役割を担います。その内部には、鋼球(ボール)が組み込まれており、このボールが軸と接触して転がることで、すべり摩擦に比べて遥かに小さい、転がり摩擦による軽快な動作を実現します。
表面処理

表面処理の基礎:熱反応析出拡散法

熱反応析出拡散法は、鉄鋼材料の表面に、極めて硬度の高い炭化物や窒化物、あるいは炭窒化物の層を形成させる表面改質技術です。一般的にはTRD法やTDプロセスという名称で知られており、特に金型や機械部品の耐摩耗性、耐焼付き性を飛躍的に向上させる手段として、現代の製造業において不可欠な地位を確立しています。この技術の本質は、外部からコーティング材を単に付着させる物理蒸着や化学蒸着とは異なり、母材に含まれる炭素原子と、外部から供給される炭化物形成元素とを、高温下で化学反応させ、表面に化合物を析出および成長させる点にあります。つまり、母材の一部をセラミックスへと変質させるプロセスと言えます。
表面処理

表面処理の基礎:水蒸気処理

水蒸気処理は、鉄鋼材料を高温の水蒸気雰囲気中に保持することで、その表面に緻密で硬い酸化皮膜を意図的に形成させる表面処理技術です。別名ホモ処理あるいはスチーム処理とも呼ばれます。一般的に金属の酸化、すなわち錆びは材料を劣化させる忌避すべき現象ですが、この処理においては特定の条件下で生成される良質な酸化鉄、四三酸化鉄を利用します。これは赤錆と呼ばれる三二酸化鉄とは異なり、母材と強固に密着し、化学的に安定した黒色の皮膜です。この技術は、特に粉末冶金製品、焼結部品の分野において、封孔処理と表面硬化を同時に実現する不可欠なプロセスとして定着しています。また、ドリルやタップなどの切削工具においては、寿命を延ばすための標準的な処理として広く採用されています。
機械要素

機械要素の基礎:オイルシール

オイルシールは、機械の内部で回転する軸と、それを支持する動かないハウジングとの隙間を塞ぎ、内部の潤滑油やグリースが外部へ漏れるのを防ぐと同時に、外部から埃や水分といった汚染物が侵入するのを防ぐための、極めて重要な機械要素です。リップシールとも呼ばれ、自動車のエンジンやトランスミッション、産業機械の減速機、モーターなど、回転運動が存在するほぼ全ての機械に組み込まれています。
機械要素

機械要素の基礎:カム

カムは、原動節であるカムと、従動節である従節(フォロワ)を直接接触させて運動を伝達する機械要素です。その最も本質的な機能は、入力である単純な回転運動を、設計者が意図した通りにプログラムされた、複雑な往復運動や揺動運動、あるいは休止運動へと変換することにあります。
表面処理

表面処理の基礎:窒化処理

窒化処理は、鉄鋼材料の表面から内部へ窒素原子を拡散浸透させることで、表面層を硬化させる熱処理技術です。古くからある焼入れという手法が、鋼を赤熱させてから急冷することで組織を変態させて硬くするのに対し、窒化処理は変態点以下の温度域で化学的に表面組成を変化させるという点で、根本的に異なる物理現象を利用しています。焼入れが日本刀の鍛錬に代表されるような相変態による組織制御であるならば、窒化処理は原子レベルで隙間を埋めて強化する化学的な表面改質と言えます。この技術の最大の特徴は、焼入れ処理に伴う寸法の歪みや変形が極めて少ないことです。そのため、精密歯車やクランクシャフト、金型といった、高い寸法精度と耐摩耗性が同時に求められる部品において、最終仕上げ工程として不可欠なプロセスとなっています。
コラム

機械要素の基礎

機械材料

機械材料の基礎:軸受鋼

軸受鋼、すなわちベアリング鋼は、現代産業社会を支える回転機械の要となる軸受を構成するための特殊鋼です。自動車、航空機、風力発電機、そして精密機器に至るまで、回転する軸がある場所には必ず軸受が存在し、その過酷な使用環境に耐えうる極めて高い品質が要求されます。軸受は、機械の重量や動力による荷重を支えながら高速で回転します。その接触点には数ギガパスカルにも達する巨大な圧力が繰り返し作用します。このような極限状態で、数億回、数十億回という回転に耐え、焼き付きや摩耗、そして疲労破壊を起こさずに機能を維持するために開発されたのが軸受鋼です。
機械材料

機械材料の基礎:機械構造用炭素鋼鋼材

機械構造用炭素鋼鋼材は、産業機械や自動車、建設機械などの主要な構成部品として最も広範に使用されている鉄鋼材料です。日本産業規格JISにおいてはSC材という記号で分類されており、一般的にエスシー材と呼ばれています。この材料は、ビルや橋梁などの建築構造物に使用される一般構造用圧延鋼材、いわゆるSS材とは明確に区別されます。SS材が引張強さなどの機械的強度を保証値としているのに対し、SC材は炭素の含有量を厳密に規定し保証している点が最大の特徴です。炭素量こそが鉄鋼材料の性格を決定づける最も重要な因子であり、これを使用者が適切に選択し、さらに熱処理を施すことで、狙い通りの硬さや強靭さを引き出すことができる、極めて自由度の高い材料と言えます。
機械材料

機械材料の基礎:ばね鋼

ばね鋼は、その名の通り、ばね製品を製造するために特別に設計された鋼の総称です。ばねの最も重要な機能は、外部から力を受けて弾性的に変形することでエネルギーを吸収し、力が取り除かれると元の形状に復元してそのエネルギーを放出することにあります。この基本的な役割を果たすため、ばね鋼には他の鋼材とは一線を画す、極めて高い弾性限度が要求されます。
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