摺動面

機械要素

機械要素の基礎:メカニカルシール

メカニカルシールは、ポンプやコンプレッサー、攪拌機といった回転機器の軸封部において、流体の漏れを防止するために用いられる精密機械要素です。回転する軸と、固定されたケーシングとの間には必ず隙間が存在します。この隙間から内部の液体や気体が外部へ漏れ出すのを防ぐ、あるいは外部からの異物が内部へ侵入するのを防ぐことが軸封装置の役割です。かつて主流であったグランドパッキンが、繊維状の詰め物を軸に押し付けて締め上げることで漏れを抑制していたのに対し、メカニカルシールは、平滑に仕上げられた二つの端面をバネや流体圧力によって押し付け合い、その間に極めて薄い流体膜を形成させることで、漏れを最小限に抑えつつ、摩耗を抑制するという高度な制御を行っています。
表面処理

表面処理の基礎:きさげ加工

きさげ加工は、金属表面をハンドスクレーパーあるいはノミ状の工具を用いて、人間の手作業によって微量ずつ削り取り、超高精度な平面度や真直度、そして優れた潤滑特性を持つ摺動面を創成する精密仕上げ加工法です。英語ではスクレーピングと呼ばれます。工作機械が数値制御化され、ナノメートルオーダーの加工が可能となった現代においても、その工作機械自身の幾何学的な運動精度を作り出すための最終工程、すなわちマザーマシンの製造においては、このきさげ加工が不可欠な技術として君臨し続けています。一見すると前時代的な手作業に見えるこの技術が、なぜ最先端のエンジニアリングにおいて排除されることなく、むしろその重要性を保ち続けているのか。その理由は、きさげ加工が機械加工では原理的に到達不可能な、幾何学的な「真」の創成と、トライボロジーすなわち摩擦潤滑工学的な理想面を実現できる唯一の手段だからです。
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