金属加工

表面処理

表面処理の基礎:酸洗い

酸洗いは、金属製品の表面に存在する酸化皮膜、スケール(熱間加工時に生成する厚い酸化物層)、あるいは錆といった不要な酸化物を、酸の化学的な溶解作用によって除去する表面処理技術です。ピクリングとも呼ばれます。その本質は、金属そのものではなく、表面を覆っている酸化物を、選択的に溶かし去ることにあります。めっき、塗装、溶融亜鉛めっきといった後工程の品質は、下地である金属表面がどれだけ清浄であるかに大きく依存するため、酸洗いは、これらの表面処理を行う前の極めて重要な前処理として、鉄鋼業をはじめとする金属加工の現場で不可欠な役割を担っています。
加工学

機械加工の基礎:加工硬化

加工硬化は、金属材料に、その弾性限度を超える力を加えて塑性変形させた際に、その金属が硬く、そして強くなる現象です。ひずみ硬化とも呼ばれます。身近な例では、針金を繰り返し曲げると、曲げた部分が次第に硬くなり、さらに曲げるのに大きな力が必要になる現象が加工硬化です。この現象は、金属を意図的に強化するための有効な手段として利用される一方で、プレス加工や引き抜き加工といった塑性加工の際には、加工を困難にする要因ともなります。
加工学

機械加工の基礎:マシニングセンタ

マシニングセンタは、フライス削り、穴あけ、ねじ切り、中ぐりといった、複数の異なる切削加工の機能を一台に統合し、それらの工程をプログラムに基づいて全自動で行う、コンピュータ数値制御の工作機械です。その最大の特徴は、自動工具交換装置、すなわちATCを搭載している点にあります。このATCの存在により、マシニングセンタは、加工の途中で人間の介在を必要とせずに、ドリルやエンドミル、タップといった多種多様な工具を自動で交換し、複雑な形状の部品を、一度の段取り(ワンチャック)で、最初から最後まで一貫して加工し終えることができます。
加工学

機械加工の基礎:プレス加工

プレス加工は、対になった金型の間に、板状の金属材料(被加工材)を置き、プレス機械を用いて強大な力を加えることで、材料を金型の形状通りに塑性変形させる加工法です。スタンピングとも呼ばれます。その本質は、金型という「形状の母」を、被加工材という「素材」に、プレス機械という「力」で押し付け、その形状を極めて高い精度で、かつ、一瞬のうちに転写することにあります。この圧倒的な生産性の高さから、自動車のボディパネルや、家電製品の筐体、飲料缶、そしてスマートフォンの内部にある微細な電子部品に至るまで、私たちの身の回りにある、ほとんど全ての板金製品の大量生産を支える、根幹的な製造技術です。
加工学

機械加工の基礎:ダイカスト

ダイカストは、アルミニウムや亜鉛といった、融点の低い非鉄金属を溶かした溶湯を、金型と呼ばれる精密な鋼製の鋳型の中に、高圧かつ高速で射出して、鋳物を製造する鋳造法の一種です。ダイキャストとも呼ばれます。プラスチックの射出成形(インジェクションモールディング)の、金属版と考えると理解しやすいでしょう。この「高圧・高速で射出する」という原理により、ダイカストは、他の鋳造法では達成が困難な、極めて高い寸法精度、滑らかで美しい鋳肌、そして薄肉形状の成形を、驚異的な生産性で実現します。
加工学

機械加工の基礎:エンドミル加工

エンドミル加工は、エンドミルと呼ばれる、外周と底面の双方に切れ刃を持つ棒状の回転工具を用いて、工作物を削り出すフライス加工の一種です。その最大の特徴は、工具の側面と底面の両方を切削に利用できる、極めて高い汎用性にあります。この特性により、単純な平面や溝の加工はもちろん、金型のような複雑な三次元形状に至るまで、ありとあらゆる形状を創り出すことが可能です。エンドミル加工は、コンピュータ数値制御装置(CNC)を備えたマシニングセンタの登場と共に飛躍的に発展し、現代の機械加工、特に金型製作や試作品加工、航空機部品加工において、最も中心的で不可欠な技術となっています。
加工学

機械加工の基礎:引き抜き加工

引き抜き加工は、ダイスと呼ばれる、先端が絞られた形状の穴を持つ工具に、金属の棒や管、線といった素材を通し、その先端を引くことで、素材の断面積を減少させ、同時に長さを増加させる塑性加工法の一種です。この加工は、ほとんどの場合、材料を加熱しない冷間で行われます。その本質は、素材を後方から「押す」押出し加工とは対照的に、前方から「引く」という引張力を主な駆動力とする点にあります。この単純な原理により、引き抜き加工で製造された製品は、優れた寸法精度、美しい表面、そして加工硬化による高い強度という、多くの優れた特性を併せ持ちます。
表面処理

表面処理の基礎:バニシング加工

バニシング加工は、ローラーやボールといった非常に硬く滑らかな工具を、工作物の表面に一定の圧力で押し付けながら転がすことで、表面を塑性変形させて平滑に仕上げる無切削の表面仕上げ加工です。その本質は、材料を「削り取る」のではなく、表面の微細な凹凸を押し潰して「均す」ことにあります。まるで、アイロンをかけて布のシワを伸ばすように、金属表面をミクロのレベルで平滑に圧延していく、極めて高度な加工技術です。
表面処理

表面処理の基礎:ブラスト加工

ブラスト加工は、研磨材と呼ばれる微細な粒子を、圧縮空気や機械的な力で高速に加速させ、工作物の表面に吹き付けることで、表面の改質を行う加工技術の総称です。その本質は、無数の微粒子が持つ運動エネルギーを利用した、一種の衝突現象に基づいています。
加工学

機械加工の基礎:リーマ加工

リーマ加工は、ドリルなどであけられた既存の穴を、リーマと呼ばれる専用の回転工具を用いて、わずかに削り広げることで、極めて高い寸法精度と滑らかな仕上げ面を得るための仕上げ加工です。自ら穴をあける能力はなく、あくまで既存の穴の品質を最終的に完成させることを目的とします。
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