グランドパッキン

材料工学

機械材料の基礎:膨張黒鉛

膨張黒鉛は、天然に産出する層状の鱗状黒鉛に対し、化学的な処理と熱的な処理を連続して加えることで、その体積を数百倍にまで人為的に膨張させた炭素材料です。かつて産業界において、高熱や化学薬品に耐えうるシール材、いわゆるガスケットやパッキンとしてはアスベストが不動の地位を築いていました。しかし、その健康被害が明白となり使用が全面禁止される中、アスベストを凌駕する絶対的な代替素材として産業の危機を救ったのが、この膨張黒鉛から作られるフレキシブルグラファイトシートです。さらに現在では、その特異な熱伝導性を活かし、最新のスマートフォンや電気自動車のバッテリーにおける熱マネジメントの中核材料として、全く新しい価値を生み出し続けています。
機械要素

機械要素の基礎:グランドパッキン

グランドパッキンは、ポンプやバルブといった流体機器の回転軸や往復動軸の周囲に設置され、内部の流体が外部へ漏れ出すのを防ぐためのシール部品です。スタッフィングボックスと呼ばれる円筒状の空間に、紐状のパッキンをリング状に切って詰め込み、グランド押さえと呼ばれる部品で軸方向に圧縮することで、その反発力によって軸表面に密着させてシール機能を発揮します。古くは麻や綿などの天然繊維に油脂を含浸させたものが主流でしたが、現代では炭素繊維、アラミド繊維、フッ素樹脂繊維、膨張黒鉛といった先端材料を編み込んだ複合材料へと進化しています。メカニカルシールと比較して構造が単純であり、突発的な破損が少なく、調整によって漏れをコントロールできるという特性から、原子力発電所の主要弁から化学プラントのプロセス用ポンプ、船舶のスクリュー軸に至るまで、極めて広範な産業分野で利用され続けています。
機械要素

機械要素の基礎:メカニカルシール

メカニカルシールは、ポンプやコンプレッサー、攪拌機といった回転機器の軸封部において、流体の漏れを防止するために用いられる精密機械要素です。回転する軸と、固定されたケーシングとの間には必ず隙間が存在します。この隙間から内部の液体や気体が外部へ漏れ出すのを防ぐ、あるいは外部からの異物が内部へ侵入するのを防ぐことが軸封装置の役割です。かつて主流であったグランドパッキンが、繊維状の詰め物を軸に押し付けて締め上げることで漏れを抑制していたのに対し、メカニカルシールは、平滑に仕上げられた二つの端面をバネや流体圧力によって押し付け合い、その間に極めて薄い流体膜を形成させることで、漏れを最小限に抑えつつ、摩耗を抑制するという高度な制御を行っています。
スポンサーリンク