表面処理 表面処理の基礎:水蒸気処理 水蒸気処理は、主に鉄鋼材料や焼結金属部品を、高温の過熱水蒸気雰囲気中で加熱することにより、その表面に緻密で安定した四三酸化鉄(Fe₃O₄)の黒色皮膜を生成させる、熱化学的な表面処理の一種です。一般的に「錆」と聞くと、赤く、もろく、腐食を進行させる有害な赤錆を想像しますが、この水蒸気処理は、意図的に「良性」の錆である黒錆を形成させ、材料表面に新たな機能性を付与する、高度に制御された技術です。 2025.09.15 表面処理
表面処理 表面処理の基礎:窒化処理 窒化処理は、鋼の表面に窒素を浸透、拡散させることで、極めて硬い窒化層を形成し、部品の表面特性を飛躍的に向上させる表面硬化熱処理の一種です。その最大の目的は、部品の耐摩耗性、耐疲労性、そして耐食性を高めることにあります。焼入れを伴う他の多くの表面硬化法とは一線を画す、窒化処理ならではの最大の特徴は、比較的低い温度で処理を行い、急冷を必要としない無変態硬化処理である点です。これにより、熱処理による部品の寸法変化や変形が極めて少ないという、絶大な工学的利点がもたらされます。 2025.09.15 表面処理
機械材料 機械材料の基礎:軸受鋼 軸受鋼は、ベアリング鋼とも呼ばれ、転がり軸受、すなわちベアリングの内輪、外輪、そして玉やころといった転動体を製造するために特別に開発された、特殊用途鋼です。ベアリングは、機械の回転部分を滑らかに支持し、摩擦を減らすという極めて重要な役割を担っています。その心臓部である転動体と軌道輪は、運転中に極小の点や線で接触しながら、非常に大きな荷重を繰り返し受け続けます。この極限的な状況下で、何億回、何十億回という回転に耐え抜くため、軸受鋼には他のいかなる鋼材にも見られない、特異で高度な特性が要求されます。 2025.09.13 機械材料
機械材料 機械材料の基礎:機械構造用炭素鋼鋼材 機械構造用炭素鋼鋼材は、その名の通り、機械を構成する歯車、軸、ボルト、クランクといった、様々な部品の材料として使用されるために設計された炭素鋼です。日本産業規格ではJIS G 4051に規定されており、その規格記号からS-C材という通称で広く呼ばれています。例えば、最も代表的なS45Cは、この鋼材ファミリーの代名詞的な存在です。 2025.09.13 機械材料
機械材料 機械材料の基礎:ばね鋼 ばね鋼は、その名の通り、ばね製品を製造するために特別に設計された鋼の総称です。ばねの最も重要な機能は、外部から力を受けて弾性的に変形することでエネルギーを吸収し、力が取り除かれると元の形状に復元してそのエネルギーを放出することにあります。この基本的な役割を果たすため、ばね鋼には他の鋼材とは一線を画す、極めて高い弾性限度が要求されます。 2025.09.13 機械材料
機械材料 機械材料の基礎:クロムモリブデン鋼 クロムモリブデン鋼は、炭素鋼に主要な合金元素としてクロムとモリブデンを添加した、低合金鋼の一種です。一般には、その成分の頭文字をとってクロモリという愛称で広く知られています。この鋼の最大の特徴は、熱処理を施すことによって、高い強度と、破壊に対する抵抗力である靭性(粘り強さ)を、極めて高いレベルで両立できる点にあります。ただ硬いだけでなく、しなやかさも兼ね備えているため、過酷な力がかかる構造部材や機械部品に理想的な材料として、長年にわたり絶大な信頼を得ています。 2025.09.11 機械材料