表面処理 表面処理の基礎:窒化処理
窒化処理は、鉄鋼材料の表面から内部へ窒素原子を拡散浸透させることで、表面層を硬化させる熱処理技術です。古くからある焼入れという手法が、鋼を赤熱させてから急冷することで組織を変態させて硬くするのに対し、窒化処理は変態点以下の温度域で化学的に表面組成を変化させるという点で、根本的に異なる物理現象を利用しています。焼入れが日本刀の鍛錬に代表されるような相変態による組織制御であるならば、窒化処理は原子レベルで隙間を埋めて強化する化学的な表面改質と言えます。この技術の最大の特徴は、焼入れ処理に伴う寸法の歪みや変形が極めて少ないことです。そのため、精密歯車やクランクシャフト、金型といった、高い寸法精度と耐摩耗性が同時に求められる部品において、最終仕上げ工程として不可欠なプロセスとなっています。