既編 表面処理の基礎:黒染め処理
黒染め処理は鉄鋼材料の表面に四酸化三鉄、またの名をマグネタイトと呼ばれる黒色の酸化皮膜を人為的に形成させる、表面化成処理技術です。アルカリ着色法あるいはフェルマイト処理とも呼ばれます。鉄が錆びるという現象は通常は金属の劣化を意味します。大気中の水分と酸素によって生成される赤錆すなわち酸化第二鉄は、組織が粗くボロボロと剥がれ落ち内部へと腐食を進行させる破壊的な存在です。しかし黒染め処理はこの「錆びる」という自然の摂理を逆手に取ります。特定の化学的環境下で鉄表面を酸化させることで、緻密で安定した黒色の錆の層を構築し、それ以上の無秩序な酸化の進行を食い止めるというアプローチを採用しています。