コラム

機械要素の基礎:軸継手

軸継手は、二つの回転する軸の端部同士を連結し、一方の軸から他方の軸へ動力すなわちトルクと回転を伝達するための機械要素です。また、原動機であるモーターやエンジンと、従動機であるポンプや減速機などの機械装置の軸とを接続するためにも用いられます。単に動力を伝えるだけでなく、取り付け時の軸心のずれを吸収したり、振動や衝撃を緩和したり、保守点検時の分解組立を容易にしたりするなど、機械システム全体のスムーズな運転と信頼性向上に寄与する多様な機能を持っています。
機械要素

機械要素の基礎:パッキン

パッキンとは、流体機器において気体や液体などの流体が接続部や可動部から漏れ出すことを防止し、あるいは外部からの異物が内部へ侵入することを防ぐために用いられるシール部品の総称です。広義には固定用シールであるガスケットと、運動用シールであるパッキンの両方を含んで呼ばれることもありますが、日本工業規格JISなどの専門的な分類においては、静止した面をシールするものをガスケット、回転や往復運動をする摺動面をシールするものをパッキンと明確に区別しています。
機械要素

機械要素の基礎:Oリング

Oリングは、断面が円形の環状シール部品であり、主にニトリルゴムやフッ素ゴムといった弾性を持つエラストマー材料から作られます。このOリングを機械部品に設けられた専用の溝にはめ込み、組み立ての際に適度に圧縮変形させることで、部品と部品の間の微細な隙間を物理的に塞ぎます。これにより、内部の液体や気体といった流体の外部への漏れを防いだり、逆に外部から塵や水分などの異物が機器内部へ侵入するのを防止したりする重要な役割を果たします。
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機械要素の基礎:グリス

グリスは、機械の摺動部分の潤滑に使用される半固体状の潤滑剤です。その基本的な構成は、基油と呼ばれる液体潤滑油を、増ちょう剤という固体または半固体の物質でゼリー状の構造に固め、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合したものです。主な目的は、機械部品間の摩擦を減らし、摩耗を防ぎ、焼き付きを防止すること、加えて金属表面の錆を防ぎ、外部からの異物の侵入を抑制することです。潤滑油では流れ落ちてしまう箇所や、頻繁な給油が困難な箇所、密封性が求められる箇所などに特に適しています。
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機械要素の基礎:ばね

ばねは、外から力を加えると弾性変形し、力を取り除くと元の形状に復元しようとする性質を利用した機械要素です。この変形と復元という性質は材料の弾性に基づくものであり、ばねはこの弾性を積極的に活用するために特定の形状に作られています。ばねは変形する際にエネルギーを蓄え、復元する際にそのエネルギーを放出することができます。
機械要素

機械要素の基礎:軸受

軸受、あるいはベアリングと呼ばれる機械要素は、回転する軸を支え、滑らかな回転運動を実現するための部品です。自動車、航空機、鉄道車両、風力発電機、そしてハードディスクドライブのような精密機器に至るまで、回転部分を持つあらゆる機械装置において、その性能と寿命を左右する心臓部として機能しています。
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機械要素の基礎:歯車

歯車は、次々と噛み合う歯によって、回転運動や動力をある軸から別の軸へと確実に伝達する機械要素です。人類の歴史において、車輪の発明に次ぐ重要な発明の一つとされ、古代の揚水機から現代の電気自動車、精密時計、巨大な風力発電機に至るまで、あらゆる機械システムの心臓部として機能しています。摩擦車やベルト伝動が摩擦力に依存して動力を伝えるのに対し、歯車は歯の噛み合いという幾何学的な拘束によって動力を伝達します。そのため、滑りがなく、正確な回転比を維持できることが最大の特徴です。しかし、その設計と製造には、幾何学、材料力学、トライボロジー、振動工学といった多岐にわたる知識が凝縮されており、極めて高度な技術的背景を持っています。
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機械要素の基礎:チェーン

チェーンは、複数のリンクと呼ばれる要素を連結し、可撓性を持たせた紐状の機械要素です。動力を伝達する巻掛け伝動装置として、あるいは物を搬送するための媒体として、産業革命以降の機械文明において極めて重要な役割を果たしてきました。ベルト伝動が摩擦力に依存し、歯車伝動が軸間距離の制約を受けるのに対し、チェーン伝動は噛み合いによる確実な動力伝達を、比較的自由な軸間距離で行えるという特徴があります。自転車のペダルから後輪への動力伝達に見られるように、我々の身近な存在でありながら、その設計と挙動には多体動力学、トライボロジー、材料力学といった物理法則が複雑に関与しています。
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機械要素の基礎:軸

軸は、機械を構成する最も基本的な要素の一つであり、通常は断面が円形の棒状の部品です。その主な役割は、動力を伝達すること、運動を伝達すること、あるいは歯車(ギア)、プーリー(滑車)、スプロケット(鎖歯車)、はずみ車(フライホイール)、クランクなどの回転する部品を、それらが円滑に回転できるように支持することです。ほとんど全ての回転機械には、その機能を実現するための中心的な部品として軸が組み込まれており、機械全体の性能、精度、耐久性に直接的な影響を与える重要な要素です。
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機械要素の基礎:ナット

ナットは、ボルトと対になって使用される締結部品であり、機械要素の中で最も基本的かつ重要な役割を担う存在です。一般的には六角形の外観を持ち、中央にめねじが切られた穴が開いている単純な金属部品として認識されていますが、その内部では極めて複雑な力学現象が生じています。巨大な橋梁から精密な腕時計に至るまで、あらゆる構造物を結合し、その形状を維持しているのは、ボルトとナットによる締結力です。ボルトが「雄」として軸方向の力を発生させる能動的な要素であるのに対し、ナットは「雌」としてその力を受け止め、固定するという受動的な役割を果たしているように見えます。しかし、実際にはナットの形状、材質、そして座面との摩擦特性が、締結の信頼性を決定づける支配的な要因となることが少なくありません。
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機械要素の基礎:ボルト

ボルト(Bolt)は、機械や構造物を組み立てる際に、部品同士を固定するために用いられる最も基本的な締結部品の一つです。一般的には、頭部と、おねじが切られた軸部から構成され、通常はナットと組み合わせて使用されます。部品に開けられた穴(通し穴)にボルトを通し、反対側からナットを締め付けることで、部品間に強力な締付力を発生させ、固定します。ナットを使わずに、部品側に設けられためねじに直接ねじ込んで締結する使われ方もあります。ねじとの厳密な区別は必ずしも明確ではありませんが、一般にナットと組み合わせて使うもの、あるいは比較的大径で強度が必要な箇所に使うものをボルトと呼ぶことが多いです。
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機械材料の基礎:チタン合金

チタン合金は、実用金属の中で比強度が最大という卓越した機械的性質と、白金や金に匹敵する極めて高い耐食性を併せ持つ先端構造材料です。元素記号Tiで表されるチタンは、密度が4.51グラム毎立方センチメートルと、鉄の約60パーセントという軽さでありながら、鋼と同等以上の強度を誇ります。この「軽くて強い」という特性に加え、錆びない、磁気を帯びない、生体適合性に優れるといった多岐にわたる機能性により、航空宇宙、化学プラント、医療、自動車、建築といった広範な産業分野で不可欠な素材としての地位を確立しています。
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機械材料の基礎:鋳鉄

鋳鉄は、鉄を主成分とし、炭素を多く含む鉄-炭素系の合金です。炭素量がこれより少ない鉄合金である「鋼(はがね、Steel)」とは明確に区別されます。鋳鉄には炭素の他に、ケイ素が通常1~3%程度、さらにマンガン、リン、硫黄などが不純物または合金元素として含まれます。その名の通り、鋳鉄の最大の利点は「鋳造」に適していることです。鋼に比べて融点が低く(約1150℃~1250℃)、溶けた状態での流動性が良いため、複雑な形状の製品でも型に流し込むことで比較的容易に製造できます。この優れた「鋳造性」により、古くから様々な製品の製造に用いられてきました。
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機械材料の基礎:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、分子内にフッ素原子を含む合成樹脂である「フッ素樹脂」の中で最も代表的かつ生産量が最も多いポリマーです。一般的には、開発元である米ケマーズ社(旧デュポン社)の商標「テフロン®(Teflon®)」として広く認知されています。
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機械材料の基礎:黒鉛

黒鉛は、ダイヤモンドと同じく炭素原子のみから構成される同素体の一つであり、石墨あるいはグラファイトとも呼ばれます。漆黒の光沢を持ち、金属のような導電性と熱伝導性を示しながら、同時に潤滑性や耐熱性、耐薬品性といったセラミックス的な特性も併せ持つ、極めて特異な物質です。鉛筆の芯から、リチウムイオン二次電池の負極材、製鉄用の巨大な電極、そして半導体製造装置の部材に至るまで、黒鉛は現代産業の基盤を支える不可欠なマテリアルです。その性能は、炭素原子が織りなす微細な結晶構造と、それを制御する製造プロセスによって決定づけられます。
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