大成建設など3社、走行中EVへの無線給電道路システムを開発

インフラ道路

大成建設株式会社は10月5日、株式会社本田技術研究所、大成ロテック株式会社と共同で、走行中の電気自動車に非接触で大電力を供給する無線給電道路システムを開発したと発表した。2027年度以降、走行中無線給電の公道実証を予定している。

脱炭素社会の実現に向けてEVの普及が進む一方、特に大型車では「大容量バッテリーの搭載による車両重量増加」と「充電時間の長さ」が課題となっている。走行中に道路から直接電力を供給できれば、バッテリー容量を抑えつつ長距離走行が可能となり、輸送分野のカーボンニュートラル化に大きく貢献できるとしている。

磁界結合方式の無線給電道路を社会実装するには、「大型車の荷重に耐える舗装構造」と「高速走行するEVに大電力を供給する電気設備」を両立させる必要がある。具体的には、①施工性と将来の更新性への配慮、②車両総重量20トンクラスの大型車の走行に耐える舗装構造、③直流配電型GAシステムに数十ミリ秒間隔の大電力を安定供給する直流電源、という3つの課題があった。

3社は、大成建設グループ次世代技術研究所/幸手「T-FIELD/SATTE」に構築した実験道路と輪荷重試験機を活用し、公道実証を見据えた検証を実施。車両総重量20トンクラスの大型車への対応を視野に、100万輪(49kN換算輪数、大型車が1方向当たり1日250台以上1,000台未満通行する条件下で疲労破壊によるひび割れが発生するまでの回数に相当)の載荷走行試験に耐える舗装構造を確立した。

あわせて、直流電源システムと、道路に埋設した直流配電型GA(Ground Assembly)システム、大電力給電技術を組み合わせ、実用化に向けた技術基盤を構築。将来的な商用大型車への適用を見据え、最大150kW級の給電に対応可能な、国内最大級の走行中無線給電システムとして設計されている。

3社の役割分担

企業名実施概要
大成建設直流電源システムの開発
本田技術研究所道路埋設型の「直流配電型GAシステム」、車両側「VAユニット搭載車両システム」の開発
大成ロテック無線給電道路の施工方法の開発
3社共同設備更新手法の開発、舗装構造の開発・耐久性試験、直流配電・無線給電実験の実施

今回確認された3つの技術的特長

  1. 施工性・更新性を考慮した実用的な道路 – 既存舗装の切削・埋設を前提とした構造を採用。切削面の不陸(凹凸)対策や配線ルートの合理化など施工段階で顕在化した課題を改善し、将来の補修・更新にも対応できる施工方法を確立、T-FIELD/SATTEに実験道路を構築した。
  2. 大型車の荷重に対応する舗装構造 – 輪荷重試験機による100万輪の台上試験を実施し、舗装構造が大型車の長期間走行に耐えうることを確認した。
  3. 直流配電による高効率・安定給電 – 新開発の直流電源システムと実験道路埋設の直流配電型GAシステムを組み合わせ、数ミリ秒間隔で大電力を安定供給できるシステム構成の有効性を確認した。

今後のスケジュール

2026年末には、大成建設グループ次世代技術実証センター/田村「T-FIELD/TAMURA」に試験走行路を構築。実車を用いた100万輪の載荷走行試験による長期耐久性評価、最大150kW出力での走行中給電性能実験、漏えい電磁界対策などを進め、公道実証等を通じた社会実装を目指す。

また3社は、2027年度以降にNEXCO東日本が実施する館山自動車道での走行中無線給電技術の実証実験「館山プロジェクト」にも参画する予定。

T-iPowerシリーズの一環

今回の技術は、大成建設が開発を進める無線給電道路システム「T-iPower® Road」の社会実装に向けた検証と位置付けられている。同社の無線給電技術「T-iPower」シリーズには、高速走行するEVに連続給電する「T-iPower Road」のほか、床や側壁から小型EVやロボットに給電する「T-iPower Floor」、オフィス内でロボット等から離れた環境センサーに電力を送受信する「T-iPower Beam」がラインナップされている。

大成建設は、「T-iPower」シリーズで培った給電技術と土木・舗装分野の知見を基に、走行中給電インフラの早期実現を目指し、物流分野をはじめとするモビリティのカーボンニュートラル化に貢献していく方針を示している。

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