
国土交通省は、「自動物流道路(オートフロー・ロード)」の社会実装に向けた2026年度実証実験の計画概要を公表した。 10月から12月にかけて、国土技術政策総合研究所の試験走路、成田国際空港の施設内、参加企業の自社施設で、複数台の搬送機器による自動走行や拠点での荷役を検証する。採択事業者は代表企業ベースで計8グループ。協賛企業としてヤマト運輸が実験用の段ボール箱を提供する。
自動物流道路とは
自動物流道路は、道路空間に物流専用のスペースを設け、クリーンエネルギーで動く無人・自動の輸送手段で貨物を運ぶ物流システムで、国交省が社会実装に向けた取り組みを進めている。2025年度にも実証実験が行われており、今年度はその成果を踏まえ、荷役作業や複数台の搬送機器による自動走行など、実際の運用を想定した技術検証に踏み込む。
実験は大きく2つのテーマで構成される。テーマ1は物流拠点での荷役能力をシミュレーションで検討するもの、テーマ2は本線での搬送機器の自動走行や異常検知、通信安定性、システム連携などを現場で検証するものだ。
テーマ1:拠点の荷役をシミュレーションで設計
テーマ1には3グループが参加し、いずれもシミュレーションで検討する。
ロジスネクストは、トラックと小型モビリティそれぞれについて、自動運転フォークリフト(AGF)とコンベヤを組み合わせた4パターンのモデルを作成。荷物量の変動に応じて必要な機器台数、搬送能力、拠点の必要面積を算出する。解析にはFlexSimを使い、ゼネテックが協力する。
豊田自動織機は、自社の自動運転フォークリフト「Rinova Autonomous」を想定し、搬送機器と拠点間、トラックと拠点間の荷役で、積み降ろしパレット数や同時搬送可能台数、必要スペースを算出する。
清水建設・IHI・野村不動産は、パレットコンベアや伸縮フォーク式移載機、無人フォークリフト、トラック自動荷役装置を対象に、必要な荷役レーン数・バース数を整理し、拠点の施設規模を算定する。
テーマ2:成田・国総研で複数台走行を実地検証
現場実験の中心となるテーマ2には5グループが参加する。
大成建設・ティアフォー・大成ロテックは、10月28日から11月10日のうち4日間、国総研で実験する。自動運転ソフト「Autoware」を搭載した車両3台を使い、景色の変化に乏しいトンネルのような直線区間で、80m間隔に設置した計12カ所の反射体による位置補正の効果を確かめる。緩いカーブ(R1000)と急カーブ(R20)でも複数台走行の性能を評価する。
清水建設・IHI・野村不動産は、11月に清水建設の研究開発施設「温故創新の森 NOVARE」と成田空港の「D隊舎跡地」で、搬送車両2〜3台を時速10〜30kmで走らせる。設定ルートとのずれや車間の保持精度、停止位置精度を計測し、路上の障害物の検知・回避や、3台での合流・分流の可否も検証する。
千葉県・成田国際空港・大林組・Cuebus・NTTデータは、11月19日から25日に成田空港の「T-3カーブサイド」で実験する。床面に敷いたコイルタイル(永久磁石式リニア同期モーター)の上を、磁石だけを載せたトレイ(最大積載100kg、最高秒速3m)が走る方式で、本線44mと分岐22mの計66mを敷設。車線変更や分流・合流、すれ違いを実証する。
鹿島建設・三菱電機・西濃運輸・ダイナミックマッププラットフォームは、成田空港のD隊舎跡地と三菱電機名古屋製作所の尾張旭工場で実施。約300mの直線路とR20の曲線路で、対向・並走・隊列走行・落下物回避など15パターンの走行データを最大3台の自動運転車両で取得する。搬送路に敷設した光ファイバーで落下物などの異常を検知し、カメラや火災検知器といった道路側設備を削減・簡素化できる条件も探る。尾張旭工場では三菱電機の「マルチFMS統合監視システム」を使い、路側インフラ・搬送機器・拠点・車両間のシステム連携や、荷物と車両を紐づけた管理方法を検討する。
フォーラムエイトは、トンネル内で搬送機器がすれ違う際や高速走行時の風圧の影響をシミュレーションで評価する。流体解析にOpenFOAM、機器の揺れの解析に自社の「Engineer’s Studio」を用い、必要な離隔距離や道路の幾何構造の検討につなげる。
今後の見通し
各グループは実験後、データ分析を経て12月から来年1月にかけて報告書をまとめる予定。国交省は今回の結果を、自動物流道路に求められる幅員や車間距離、拠点規模、道路側設備の仕様などの検討に生かす。



コメント