経産省、中部電力に業務改善命令 浜岡原発の基準地震動めぐる不適切行為で

電力・エネルギー

経済産業省は11月6日、中部電力に対し、電気事業法に基づく業務改善命令を出した。浜岡原子力発電所3・4号機の基準地震動の策定をめぐる不適切な行為に加え、法令等遵守体制や牽制機能、内部通報制度などに問題があったと判断した。11月30日までに業務改善計画を提出し、2027年3月31日までに取り組みの実行状況を報告するよう求めた。

処分の理由

経産省は、3月31日付の報告徴収に対する中部電力の報告内容と、同社の特別調査委員会の報告書(9月11日付)を検証し、主に次の問題を指摘した。

  • 基準地震動の策定に関する不適切な行為:浜岡3・4号機の基準地震動策定で、代表波を定量的な基準によらず人為的な手法で選定。原子力規制委員会の審査会合で虚偽の説明を行い、原子力規制庁の照会に対しては、従前の説明と矛盾しないよう地震動計算結果の組み合わせを事後的に作り直した
  • 牽制機能の脆弱性と内部通報制度の機能不全:原子力部門の「ライン外専門家」が疑義を指摘していたが、担当者と同じ上司の下にあり独立性がなく、牽制が働かなかった。内部通報でも問題が指摘されていたが、是正につながらなかった
  • 業務運営体制の不備:高度な専門性のため手順や判断基準が属人化・硬直化し、社内の客観的基準が守られず、社内審査も不十分だった
  • ガバナンス機能の不全:経営層の一部が原子力部門の業務実態を十分理解しないまま指示を出し、それが不適切な行為の動機になった。経営層と原子力部門のコミュニケーション不全で報告と是正も遅れた

ほかの2事案にも通底する問題

経産省は、ほかの2件の不適切事案にも同じ問題が通底していると判断した。

  • 中部電力ミライズの料金原価の誤算定:2024年2月6日付の特定小売供給約款の変更届出で、料金単価の基礎となる原価を誤って算定。届出前に誤りを把握しながら修正しない判断をし、需要家への誤請求が2年以上続いた
  • 浜岡1・2号機の解体工事に係るNuROへの報告・費用請求:2024年度の解体工事で、NuROへの費用請求36件のうち17件が実態と異なっていた。完了していない工事を完了扱いにしたり、請負会社に請求額の書き換えを指示したり、工事報告書を書き換えたりしていた

再発防止策の策定・実施を命令

命令は、電気事業の健全性と業務運営の適正性を確保するため、実施方法と実施時期を明確にした実効性ある再発防止策の策定・実施を求めた。主な項目は次の通り。

  • 役職員の責任の所在の明確化
  • 法令等遵守体制の抜本的強化、組織風土の改革、原子力部門など専門性の高い部門の閉鎖性の排除(外部人材の活用を含む組織体制・人事制度の見直し、原子力部門などへの外部の視点の導入など)
  • 牽制機能の強化と内部通報対応の抜本的強化(内部監査体制の拡充、外部専門家による監査機能の高度化、不正行為を防ぐ罰則等の導入など)
  • 業務運営体制の確立(業務プロセスの定期的な検証・見直し、各部門の審査・管理体制の強化)
  • 新たな経営管理体制の構築(取締役会など経営の監督機能の重点化、社外取締役など外部の視点を生かした監督機能の独立性・客観性の確保など)

再発防止策の実効性は外部人材を含む体制で客観的に検証し、不十分な場合は追加の改善策を講じる。原子力規制委員会の今後の指導・指示も踏まえ、必要に応じて追加策を講じることも求めた。

命令までの経緯

  • 1月5日:経産省が電気事業法に基づき報告徴収を命令
  • 3月31日:中部電力から回答を受領し、追加報告を要請
  • 10月29日:中部電力から報告を受領
  • 10月30日:行政手続法に基づき弁明の機会を付与。中部電力は同日、弁明を行わない旨を申し出
  • 11月2日:電力・ガス取引監視等委員会に意見を聴取(4日に異存はないとの回答)
  • 11月6日:業務改善命令を発出

出典:経済産業省ニュースリリース(2026年11月6日) https://www.meti.go.jp/press/2026/11/20261106001.html

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